ヒアリングでもっとも大切なのは共感です。これは単に相づちを打てばいい、というものではありません。 相手の話を注意深く聞き、自分自身の生きてきた経験に当てはめ、まるで自分事のように受け止めることが重要です。 これを行うことによって、クライアントさんはあなたと一体感を感じることができるため、他の方には決して話さないようなお悩みを話してくれるはずです。

　自分の背中は誰にも見えません。だから客観的に見てくれる存在は貴重です。 あなたはクライアントさんに深い共感をしつつも、同時に冷静かつ客観的にクライアントさんの置かれている状況を判断する必要があります。 そして、暗闇の中でライトを照らすように、プロとしての分析結果を数字や理論を使ってクライアントさんに分かりやすく教えてあげるのです。

　アイディアはスピードが命です。クライアントさんの悩みを吹き飛ばすようなアイディアを瞬時に出すことが出来ればクライアントさんは、「なんだ、いろいろやれることはたくさんあるじゃないか！」と希望を持ってもらえます。 では瞬時にアイディアを出すことにはどうしたらよいのか、と言えば答えはカンタンです。 「もし、今が江戸時代だとしたら・・」「もし、タイムマシンがあったら・・」など、ありえないことを想像することでアイディアというのは無限に生みだすことができるのです。

　現状打破を困難にしているもの＝それは「常識」です。 だからこそ、クライアントさんに新しいものの見方や世界観を提案することが必要です。 何故ならクライアントさんのこれまでの生活や物の捉え方だけでは打てる手段に限りがあるからです。 そこで今までとはまったく新しい世界観を見せることで、クライアントさんの視界をグーンと広げる必要があります。 これは世の中の流れとクライアントさんの得意分野をうまく調和させることで突破口が開けることが非常に多いです。

　もっとも大事なのが後押しの仕方です。 多くの場合、面白いアイディアを思いつくと、それを押し付けたがります。 しかし、あなたもそうだと思いますが、人に言われて、「はいそうですか」とやれるものではありません。 何故なら、その人なりの思い入れがあるからです。 とはいえ、その人が新しい行動をしなければ現状は何も変わりません。 そこで、大切なのはおススメはするが押し付けない、ということです。 つまり、自分の意見としては、「〇〇という方法はいいですよ」と説明するものの、それをやるか、やらないか、はクライアントさんに委ねることです。 私はこれを「１ミリの後押し」と呼んでおります。 慣れないともどかしく感じるかもしれませんが、これがもっとも効果的な後押し法なのです。