このコーナーでは他にない付加価値を生み出している経営者を客単価UPコンサルタント・村松達夫の視点で考察し、経営を飛躍させるためのエッセンスを抽出していきます。さらっと読むだけでワクワクとした高揚感が得られ、今の時代を切り開くビジネスのヒントが手に入ります。
削らない歯医者さん
今回、ご紹介するのは、大阪にある歯科医院さんだ。
といっても一見歯科医院に見えないようなアーティスティックな建物で、しかも看板も出ていない。
こんな「隠れ家バー」のような造りにも関わらず、患者さんが絶えず、地域の人が次から次へとやってくるという。その秘密に迫ってみたい。
-1- 患者視点
まず挙げたいのは、とことん患者目線だということである。たとえば、あなたは「何でこんなになるまで放っておいたんだ(怒)!」と歯医者さんに怒られた経験はないだろうか?
-2- お見合い初診
次に挙げたいのは、としな歯科医院は初診時にいきなりお口を開けさせることはない。まず患者さんの話を聴くことにしている。
-3- 削らない歯医者
最後の極めつけは「削らない」というスタンスだ。これは前述のお見合い初診で示したとおり、来院したからといって「いきなり削らない」という意味もあるが、もう1つ重要な意味を持つ。
-1-患者視点
まず挙げたいのは、とことん患者目線だということである。
たとえば、あなたは「何でこんなになるまで放っておいたんだ(怒)!」と歯医者さんに怒られた経験はないだろうか?
もしくは、「治してあげるのだから多少痛くても我慢しなさい」といった態度を示されたことはないだろうか?
正直、私は多々、経験がある。
もちろん、自分の身体を大切にしなかったのは良くないことかもしれない、治すためなら苦痛もやむを得ない、それはそのとおりだ。
しかし、ただでさえ病気で弱っているときにこうした言葉はグサグサ刺さっていくのも事実だ。
このことにいち早く気づかれた年名院長はむしろ逆の立場を取るという。
つまり、「よく来られましたね、勇気が要ったでしょう?」といったねぎらいの言葉をかけることだ。
あなたはこんな言葉をかけられたらどう感じるだろう?
おそらく、思い切って来院してよかった、と思うとともに、多少痛くてもこの先生に任せてみよう、と感じないだろうか?
もちろん、医療の専門家として、「ダメだぞ」と説教することもできる。
しかし、としな歯科医院ではそれよりも、患者さんが安心して治療に向き合い、心身ともに良い状態になっていくことを重視しているため、こんな仕組みができあがっているのだ。
お客の心情にピッタリの声掛けを考えろ!
売り手の立場からしたら、「これは困ります」「これは無理です」と言いたくなることは多いだろう。
しかし、あなたのお客さんはあなたを頼ってアクセスしているわけだから、相手の心情に合った言葉掛けを工夫してみよう。
それが「ファン」を生む糸口になるはずだ。
-2-お見合い初診
次に挙げたいのは、としな歯科医院は初診時にいきなりお口を開けさせることはない。
まず患者さんの話を聴くことにしている。
何故かというと、患者さんの求めているものと、としな歯科医院が提供しているものにギャップがある可能性が高いからだ。
もちろん、できるだけ患者さんの希望に沿うようにはしたいが、難しい場合がある。
たとえば、患者さんは短期のスピーディーな治療を望んでいたとしよう。
しかし、治療内容から考えて、スピーディーに治療をすることは患者さんのリスクを大きくする場合がある。
もちろん、「あなたのケースでは時間がかかりますよ」と伝えて、承諾させることできるだろう。
もしくは、患者さんの希望に合わせてリスクを承知でスピードアップすることもある程度は可能だろう。
しかし、このどちらをも年名院長は良しとしない。
患者さんの希望と医院としての見解を明確にした上で、としな歯科医院で治療を受けるかどうか、を患者さんに決めてもらうスタイルを取っている。
そうすることで、患者さんはいたずらなリスクを負うこともなく、他の医院を探す自由も与えられるわけだ。
この方式を年名院長は「お見合い」と呼んでいる。
まさに言い得て妙だ。
ただ、ここまでされたら、ほとんどの患者さんは納得して治療を受けることを選び、その後のクレームなどもほとんどないはずだ。
お客が自由に選べるように環境を整備しろ!
「良いものですよ」「お買い得ですよ」というのは、売り手から見ればそのとおりだ。
しかし、どんなに良いものでも「価値がある」と判断するのはあくまでお客さんである。
無理に売るのではなく、お客さんが自分で決められる環境を整えてあげることにより、結果的に選んでもらえる会社になるのだ。
-3-削らない歯医者
最後の極めつけは「削らない」というスタンスだ。
これは前述のお見合い初診で示したとおり、来院したからといって「いきなり削らない」という意味もあるが、もう1つ重要な意味を持つ。
それは「できるだけ削らない方針」ということである。
歯も身体の一部なので、できるだけ手を加えないほうが良いのは当たり前だ。
しかし、多くの場合、削って詰める、削ってかぶせる、抜いて埋め込む、といった治療のほうが手っ取り早いので、そちらに力を入れる医院は多い。
しかし、年名院長は患者さんが希望される限り、なるべく削らない方針を貫いている。
そのためには、徹底した検査と診断をし、治療方針を立てることが必要になってくるが、患者さんのお口の中をなるべく自然の状態に近づけたい、と労力を惜しまない。
その結果、「他の医院では『抜くしかない』と言われた歯が温存できた」「インプラントになるところを免れた」などの成功例をたくさん生み出し、患者さんに喜ばれているのだ。
「損をして得を取れ」を実践しろ!
「あまり儲からない」いう理由で、お客さんに必要なものを売らない、ということはないだろうか。
たしかに利幅の少ないものを売れば目先の利益では損をするが、お客さんに最適なものを選んであげることはお客満足を与え、リピートにつながる。
だから収益性の低い商品でも敢えて取り揃えることが重要なのだ。
「お客さんを120%満足させよう!」
Lesson1.お客の心情にピッタリの声掛けを考えろ!
Lesson2.お客が自由に選べるように環境を整備せよ!
Lesson3.「損をして得を取れ」を実践しろ!
削らない歯医者さん